ザ・ブーンンン/砂木
 
髪からはずした指で頬杖をつく
汽車の窓をみつめて
腕組みしながら眠るあなたに
微笑んでみる

間違いといわれて問わずにいられない
どんな女が好みでしたっけ

もうすぐだよ おきて
少し顔を曇らせて
私は 黙りこんでみせる

ここか

うん

二人が降り立ったのは 浜の名前のつく駅
窓から 海の景色が見える

汽車を間違えたと車掌さんに言ったら
この駅で 引き返す汽車を待ちなさいって
降ろしてくれたのね それで

それで 男と会ったのか

ゆっくりと私は背中を向けて歩く

おい

海よ 行こう

駅をでると 潮の匂いが かまいだす
およ
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