街のひかり、朝/笹子ゆら
 
この平穏な街で
確かにわたしは存在しているのに
なぜだか存在していないかのような
そんな予感がしてしまっていて

ぼんやりとひかるその太陽に
化かされてしまえばいいのにと
ふと、おもう


深呼吸をしてみた

ランドセルを背負って走るこどもたち
世間話にいそしむお母様方
バス停で携帯をいじりながら待つ高校生
急ぎ足で駅に向かうサラリーマン

……朝の空気にゆるりと溶け込んで


横断歩道の信号がちかちかと点滅する、赤だ

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