暮らすように歌う/クガツ/モリマサ公
暮らすように歌う
寒ゼミの最後の声が
あかるいよるの雲の腹の
内側であふれている
世界ということばがあまくかじられて
「明日死ぬかもしれない」と
しろい猫が鳴き
びっしょりとハイビームをあびて
まっくろいアスファルトを横切りながら
あたしはクガツをみる
ジュウガツをみる
からだが咲きこぼれる
と音読しながら
ビジョンくりかえし舐める
リセット
リッター13キロで最愛のカローラは
午後10時で半額の外環をはしって
闇のなかをクジラが泳いでいる
小金井でわずかなピロートークをかまし
わずらわしくないようそっと噛み付き
リミットがあいまいにこわれていく
調布からの
いくつものあたらしく美しいカーブ
を抜けながらあたしは加速していく
午前3時
午前4時に仕事がはじまる
空が揺れている
揺れながら音も無く開いていく
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