残照、とりのこされて/たりぽん(大理 奔)
ゆるやかな緑の山稜から
墜落した日差しに
めまいがする
真昼の木陰はさらに黒くて
鳥たちも飛ばない季節風
私の見えないところにも
染みこんでいく
切り絵の空に逆光のきみが
遠くで積乱雲を焼くまぶしさと激しさで
遙かな光ばかり追ってしまうのは
とどかないものばかり美しく
記憶を、思い出に変える
残照がうらやましくて
いつしか
夜の湿度に立ち尽くす
残像をそのまま投げあげると
夜露が瞳を濡らしてにじむ、流星まで
闇に飛ぶ鳥が
羽ばたきだけを聞かせて
私の見えないところに
旅立っていく
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