海の惑星/寅午
 
わたしの舟は
海の波間に浮き、しずみ
しみいる海水を 手おけで
くみだし、海原をわたってゆく
舟に名前をつけようという
シャレた気持ちもとうになくし

それでも、
 「オマエハダレゾ?
と、問われれば
 「おいらは、ふなのり。人生という荒海を旅するものぞ。
と、答える気概はのこっている

わたしの舟はめまぐるしく大きさを変える
気持ちが小さくなって
手こぎボートになったり、ときには
海峡をわたる蒸気船くらいにはなる
わたしの気持ちしだい

推進力はとうになく
舟の針路は風まかせ、潮流まかせ
風は、波は、この舟を
希望の大地へと導いてくれるのだろうか

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