馬/
小川 葉
馬にまたがって
本を閉じる
栞をはさむのを忘れたまま
目の前が揺れてる
馬とともに
風とともに
新しい物語がはじまる
馬をおりると
手料理の皿を持ってる
あなたが
あつあつの
できたての
どうしてわかったの
わたしが
おなかを
空かせてることを
栞をはさむのを
あのとき
忘れていたことを
馬は
本のように
ヒズメを鳴らし
走り去って行く
誰も乗せずに
物語がおわるまで
ずっと
わたしの
わたしたちの
物語がおわるまで
ずっと
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