梅田川/
小川 葉
川の向こうに
黒猫がいる
こちらをじっと見てたのに
いつのまにか
居なくなってる
遊歩道でひろった
小さなノートをひらく
知らないことばかり書かれてある
わたしは石に
名前をつけていく
知ってる名前も知らない名前も
わけへだてなく
ただそこに名前が
あるように
魚がたくさん跳ねている
カゲロウがたくさん飛んでいる
電車の音が聞こえる
しずかに夕日がくれていく
ここにはたくさん
名前がある
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