染めてくれない - dye scarlet over white –/橘柑司
 
で他に一度もぶつからずにさ」
「貴方は、あまりレアではありませんね」
ウィルが茶々を入れる。
「他と一緒にするなよ。俺は動機が違うのさ。夢の中で味わう高いところから落ちる時の感覚っていうのが、現実でもそうなのか知りたいのさ。もしも同じなら、ほら、俺が前々から言っていた、夢は現実と同等以上にリアルで、脳は一般的に考えられてるよりも優秀だってこと、ある程度は証明できるんじゃないか。だって現実では一度も体験したことのないことを、先に夢の中でやっちまってるんだぜ」
「一度もぶつからずに落ちたいという部分は、どうして」
僕は、バーテンダからカクテルを受け取りながら聞いた。
「それは、その方が綺麗
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