涙の湖/蜜柑
達に残された物は
古びた一隻のボートだけ
最初はね、2人で漕いでいたんだよ
新しい私達の王国を探しに
だけど
途中で君はいなくなってしまった
もうボートは漕ぎたくないって
自由になりたいって
そう言って君は
背中に生えた翼で空高く
私一人を置いて
飛んでいってしまった
私は空を飛ぶ事が出来ない
私の翼はもう随分と前から折れて、ちぎれてしまっている
そんな醜い私を君は綺麗だと
言ってくれたのに
守ってくれると約束したのに
私は今日も1人
ボートを漕ぐ
湖の果てを目指して
君はこの湖の名前を
知っているかい?
『涙の湖』
っていぅんだよ
私はいつか
このボートを降りる事が
出来るのだろうか
涙は枯れるのだろうか
私は今日も1人
ボートを漕ぐ
湖の果てを目指して
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