[夕立]/東雲 李葉
夕立が来るというから髪を切りに行くのを止めた。
予約の電話もしてないから混んだら時間もかかるだろう。
貴重な休みなのだから出来るだけ有効に使いたいのに。
こうなるともう向かいのスーパーに行くことさえ億劫だ。
一週間も前から組んでいた分単位の予定が崩れていく。
もういいや寝てしまおうったって力を込めても目蓋は軽い。
ああ、ついに降りだした。
裏の公園からは雷に脅かされた子供らの声。
私は狭い窓から他人事のような雨を見上げる。
朝のニュースも昼頃浮いてた積乱雲もこうなることを告げていたのに、
傘も持たず駆けてた子らが羨ましくもあり嫉ましくもあり。
枝毛だらけの髪を
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