アンビバレンスシティ/紫音
 




哀しいかな
そこですら
看守との
共生で平等でさえなく


それが
いかに惨めで醜悪であろうと

人は

極限で
本質を体現するのだと


いつしか
そんなことすら忘れ

忘れたフリをして


偽りの中に
うわべすらない
得体の知れないものを生み出していく



みんな平等で
個性もなく
外見も同じで
複製品のように鋳型に納まり
劣等感を誤魔化し
才能を否定し



テレビを消す

偽りの拡声器を



自分の醜さは
いかにしても消すことができず

未熟であることを認めるが故に
未熟であることに気付くことを
誰かが覆い隠した


見慣れた番茶が

混沌と澄まされていく




そして今日も



明日も



見て見ぬフリを


知らぬフリを



気付かぬ



フリ









戻る   Point(4)