ZERO MONEY/渡邉建志
 
MONEY という名の町について


俺は起きて自転車に乗る
警官が追いかけてくる
「こんにちは素寒貧
「こんにちは陛下
「財布を見せろ
俺は財布を渡す
(俺はおどおどしている)
0と書いた硬貨が5枚だけ出てくる
「すこし多すぎる
警官は0と書かれた硬貨を2枚自分のポケットに入れる
別に価値なんてないのに
横取りされると悔しい
俺は警官にタバコを勧める
(俺はおどおどしている)
警官はタバコに火をつけると
タバコが火を吐き警官は頭をのけぞらせて
向こうの空へと飛んでいく
(これがタバコジェットだ)

思うにこの町には警官と素寒貧しかいない
素寒貧は夢を
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