Beyond/小川 葉
 
ともなく
語ることもできなくなった
僕の父親
新聞ばかり見ていた
見てるふりをして
父親のふりをしなければならなかった
僕の父親の
代弁者になる

ガソリン代があがったので
クルマで
現実逃避さえできなくなった
小さな昭和をあわれみ
僕は詩を書く
きっと父には
その意味はわからない

父さん
もう
しょうがないから
また一緒に
釣りに行こう
あの海のむこうへ
父さんが
父さんだった
時のむこうへ

母さんも
来ればよかったのに
 
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