暑夜/鎖骨
 


ひとびとが雁首そろえて暑い暑いと呻く夜
僕らの幼稚な自己愛がこの夜の温度に煮凝っている
その頃合に何処かで誰かの切実な現実が閉じ込められていく
分厚いコンクリート
あるいは湿った土の奥深くへ



ああ
とてもあつい



僕も彼も彼女もあいつも
遠くで起こっている事象へと考えを巡らせるのには
向かないうえ疲れてしまう性質なので
汗に塗れてそれぞれに
雁首から白い魂をしらじらしく
吐き出してそれから直ぐ
眠った





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