空に星が綺麗/木屋 亞万
 
幼い流れ星が
きらきらと
空を走り抜けて
尻尾のおばけ


太陽の十倍の速度で
7時半の闇の中を
そろりそろり
笹船と競争するように
流れ流れていく星
真っ直ぐ進まないと
いけないという
ルールなんかなくて


小さな島から
大きな島まで
あらゆる島の人たちが
手持ち無沙汰で
夜空を見上げ
ただぼんやりと
月を眺めている
 ところを想像して
 微笑む


眠る前の
真空の頭で
話す言葉が
ひやりと
誰かの耳元へ
流れ流れて
夢の呼び水にでも
なればいい


流れ星のかけらが
滑らかな粒子になって
人間の知らないところへ
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