夕暮れハニー/船田 仰
 
画鋲一個で支えられたフレーズ
そんなもので君は歩くんだとして
小さな足音で七月は過ぎてゆく
今このときに語りつくせるニュアンスがあるなら
きみは僕を量り知ることができる
ねえメロディーはいらないさ、ハニー
夕暮れ色のままで撃ってみればいいじゃない

落っことした丸っこいメジャーで
街は量りつくされてしまった、らしく
だからぼくは日陰を呪いながら
きみの小さなフレーズを貼り付けてまわる
もうすぐ時間がとまって
七月がプレイバックしたとしても
そんなもので僕はかたれない
かばんに詰め込んだふわふわのおもいだけじゃ
あの子のメロディーを越えられない
目をまわして苦笑いを
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