太陽光ときみと眼差し/笹子ゆら
 
太陽のオレンヂを借りて
不釣合いなその眼差しを盗んで
下らない闘争に及んで
わたしはもうダメなのだと
おもった

そのうまく回らない舌で呟くきみの
つたなさが好きだったはずなのに
大きく開いた瞳のなかにはもう、
その姿は存在していない


ハイブリッドカーを望んで選んで
ゴミは分別してなくちゃ気がすまなくて
出て行くときには家中のコンセントを抜くほどだし
ガソリン高騰だというと馬鹿にしたように笑い
ソーラーパネルのパンフレットを必死に覗き込んでいる


いらないのに


冷たくなった部屋の中でたたずみながら
よくわからない言葉で、わたしを罵倒するのだろう
淋しそうな顔をして
きみは


ほんとうに望んでいたものは一体なんだったの
知らないふりだなんてもう、やめて
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