電気蝉/さかまき
 
郊外の電柱林は、中小ビルと畑があって
互いに異なるプロトコルでネットワークにアクセスしている。

電波洪水が起きても、ただの雑音だから無視されて、ゴミ箱に捨てられた。


少年は耳を雑音にやられてデフになってしまった。
話すことも出来なくなった。



デフの少年は、電柱が木になるまで歩いた。

唸りながら歩いた。
電波で体がけいれんしそうだったから


紫外線を浴びて、
いっぱい汗かいて、
シャツもびっしょり

けど、少年は気持ち良かった。



木の森にやってきたら、

電波は蝉の声になっていた。

少年は、電柱林の時と同じデフのままだったけど、
もう唸るヘルツじゃなかった。



向こうからやってきた。

少女

何か言ってきた


デフの少年はなにも聞こえないから、?って思う。


ここでは、少女もデフだった。


少年と少女は、近くに寄り合って、
目を合わせて笑った。

目を合わせて笑った。



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