らいめいの駒鳥/
 
そらが
投げかける光を
見なかった



膨らんだ
ほおぼねのあたり
あかく火照る
夏の痣がひりひりと
ひりひりと
うずいて
コンロのうえ
やかんから溢れる
湯気が
おもうよりもずっと
しみた

 いまそこで


古びた換気扇は
くうきをにがしてゆく
天井のしみは
昨晩の思い出ではなく
ずっと過ぎたとおい
祈りのように穏やかな
ちんもく

 しゅんかんの


そらが
投げかける光を
見なかった
もうもくに赤い鳥が
その窓を横切り
ひずんだ羽で
すこしだけあどけなく
手を振って

 らいめい
 


ふきこぼれるやかんに
揺れたコンロは
細い声をあげて
窓の外をぼんやりと見つめるわたしを
泣きながら呼ぶ




2004*07*18
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