ただいま/蒼木りん
 

ひとつの現代的ショートストーリーを読み終えた頃、
眼が自然に閉じていた。
眠りに入ったことに気づいたけれど、そのまま
その贅沢さに任せることにした。
海に来たのに、泳ぎもせず、遊びもせず、
波の縁をたどって歩いただけで 満足で、砂を握っただけで 満足した。
何よりも、
海風の中で本を読めることが満足だった。
ずいぶんと本を読んでいなかった。

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砂に汚れた波と 砂の色の何色か、貝殻 海草 さまざまな人 人 人 々..

私はもう、
海に 深く神秘を感じなくなったのだろうか..

漠然と。

眼を覚ますと、
目の前は 空が青くなっていた。 
「晴れた!」(本当の)

しあわせだった。


デザートは ナタデココ。

「くにゃっ..」ていう 食感がすきだ。

まぁ.. どうでもいいんだけど。

今日の夕空は、
雲が 金色と茜色の波のようにひろがり、
海を逆さまに見たような空だった。


 
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