振袖舞え舞え/
佐々宝砂
舞えよ振袖 振袖よ舞え
舞わねば紅蓮に焼きまする
三畳の座敷牢で狂女は歌い踊る。
小女が運んできた膳は手つかず。
ただひたすらに歌い踊る。
母の嘆きも父の憤りも知らず。
寝食も知らず。
果てるまで。
狂女とはいえ供養は成された。
寺の境内で火点けられた振袖は
風にあおられ舞い上がり
経文を焼き寺を焼き
三日のあいだ燃えさかる。
舞えよ振袖 振袖よ舞え
舞うほど紅蓮に燃えまする
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