太陽/naru
なにもない部屋の中で
ぼくがひとつ
転がっている
さっきまでふたつだったのに
いまはひとつになった
夏の夜は蒸し暑い
指の間にも汗かいて
まぶたのまわりもしっとりしてて
ひざの裏がじんわりしてる
いますごく考えてるのは
この夏が永遠ではないということ
太陽がさっきまでしかいなかったのと同じに
部屋にはなにもない
見たいと思った映画も
読みたいと言った本も
大好きな絵葉書も
冷たいアイスコーヒーも
汗が一筋たれて
ムードをこわす
もう少しだけ
永遠を信じた頃を
懐かしませて
なにもなくなった部屋に
ぼくがひとつ
さっきまでふたつだったけど
太陽は温かい風を残して
どこかにいった
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