夜/空井豆腐
 
手のひらが薄く重なる波紋から沈黙を知悉すると夜だった
前進には時間がかかり
余計なものはすべて困惑した埃にかわった

焼けた手紙の匂いをかいで
あたたかさが口角をしめらせた
とおくの発光は暗く閉じた圏を歪ませ
僕にはそれが悲鳴だった
音のないくるしみ

夜のみずうみの底辺で直立する
無限に掘削する透明な裂け目に
とおく繋がっていくように
進んだ
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