いらないもの/
小川 葉
幸せになるために
不幸が少し
足りませんでした
不幸になるために
少しの幸せも
いりませんでした
それなのに
幸せになりたいとは
誰ひとり
言いませんでした
幸せになること
それを誰かに
知られてしまうのが
まだ少し
怖かったのです
まだ
ほんの少しだけ
いらないものが
多すぎたのです
不幸になるために
人は生まれたわけでは
ありません
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