そしてシグナルタワー、女子/しもつき七
どうにか人のかたちをしているそれらの、うつくしいあばら骨。(そのなかで一番好きなのを、ぬきとって捨てるんだ。持ち重りのしそうなそれにも、たしかに血液が回るのかどうか。)
産まれたときから女だけれど、子宮はまだ欲しくない。
せまい公園の空に、はいりこめなかった夕方がぼたぼたと滴り、飴だまになって降ってくる。かくれんぼをしていた大人たちが、すべりだいの階段から、ぶらんこのゆれぎわから、わあっ、と駆けてきて、いっせいにスカートをひろげた。水たま、縦縞、花柄。傘の模様のような布を観察する女の子だけが、そのなかでやっと一つ、ハリボテではなかった。
おちてきてしまった人工衛星をひろう。機械によって点滅している。ハイテク、とつぶやいて、女の子はきれいな部分から、解体をはじめた。
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