迷い森/モリマサ公
る。
「ノーティスボード」にはりだされた幼い家族の写真。
みんなどこにむかっているんだろう。
不安だ。
知らなかった。葉っぱの裏側がこんなに暗いことも、全てを照らす太陽の黒点が、終点のように人々を吸い込む。
ゲリラの沈む泥にシャッターを切りながらリアルということについて切り取る仕事について祈っていたことを忘れない。
なぜ迷っているのだろう。
同じ場所をくりかえしチェックする。
公園で遊ぶ子供たちの走る音がそらみみで追い抜かしていく。
猫はかえってこない。
てゆーかあたしのかえる場所はどこ?
もつれている。電線や電波。悲しいほどぎゅうぎゅうな電車。
赤ん坊が生まれるたびに世界中の公園の街頭が瞬間ひかりかがやき、遠く離れたところの星たちは暗く、曲がり角を曲がるたびに木の数が増え、つたがからまる。
なぜ迷っているのだろう。
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