そうして溺れ、浮遊してゆく/笹子ゆら
酸素をなくしてしまいそうなのです
溺れるしか能のないワタシは
呼吸をわすれてしまいそうなのです
例えば、
水溶液に浸っているような気持ちのままで
ワタシが意識を失ってしまったら
どうなってしまうかもわからないのでしょう
はじめて、奮い立たせられるようなうそを
あなたに吐けた瞬間に
すべてを思い通りにできるのならば
どれだけ、
しあわせでしょうか
あなたもワタシもこどものままなので
いつまでたってもそれ以上にはすすめないのです
そうして、
おとなになるためのステップを踏んだとして
ワタシが正しい人間になれるだなんて
確かなはずなんてないのに
くすぶるその、視線だとか
信じられるのはそのようなものでしかありえないのに
縁日のビニールプールのなか、はげしく喘ぐ金魚のように
ワタシはわすれてしまったのです
酸素の味、つめたいと感じる瞬間に浴びる、ひかりのシャワー
そろそろ、浮遊する
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