迷い森/
小川 葉
迷うほど
その森はあらわれて
洗われる
下着の下で蠢く
植物の言葉と
虫の目覚め
それらはやさしく
息を吹きかける
僕の頬に
ときにはその存在を
確かめるように
さらにはげしく
ときに甘く
撫でつける匂いを
たなびかせて
眠りにつく
やがて夢のように
森のように
あったはずのものが
そこにない
うちへ帰ろう
母さんを待とう
たとえシチューの
いい匂いが
しないとしても
迷うほどに
豊かな森が
そこにあるとしても
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