駅/nonya
ニューロンの地下道を
何度も行き来して
シナプスのエスカレーターを
ノルアドレナリンなみに昇り降りして
君の行方を捜していた
視床下部から垂れ下がる
独善的な案内板は
劇的な別れの場面など
意図しているはずもなく
僕は何度も吐き気をもよおした
やっと辿り着いた11番線
階段を駆け上がったところで
思いっきりつまずいた瞬間に
列車のドアは内側にしぼんで
僕はホームに取り残された
高慢ちきな流線形が
無数のヘアピンで束ねられた
鉄色の後ろ髪の上を
整然とした轟音を響かせて
君を連れ去っていった
干からびた構内アナウンスに
弱々しくたなびく
「さよなら」と「元気で」と
少しばかりの言い訳
途方に暮れる僕を
下り列車から吐き出された
お疲れ気味の土産物と思い出話が
情け容赦も手加減もなく
出口へ押し戻そうとする
耳の奥にこびりつくアナウンス
まもなく11番線に列車がまいります
約束をお持ちでない方は
今すぐに白線の内側から
立ち去ってください
今すぐに
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