ザ・ブランニュー・死刑/雨を乞う
 
 

 空の青で僕の皮膚が少し色付けばいい、雲を絡めたこの腕を間の抜けたサイレンで切り落として標本にしよう。人身事故で停まる腥い湿度の車内で君に手紙を認めた、大丈夫。何を書いても君は!破り捨てるんだろうなあ!この電車を止めた主と同じスタンスを貌りたい、出来ないなら完全に跡形もなく失踪したい。どちらも出来ないってわかってしまった、僕は僕という外殻を遺して内臓も骨も意識も思い出も溶けて、明日も同じ棘の中で風習のダンスを踊る。社会はあまりにも平坦で、馨れば消され、飛べば落とされ、歌えば噤み、踊れば撃たれた。

 本当に空白を笑えるの?誰もいなくなった本棚の影でした過ちに於ける償いを覚えている?引力に服従するバラの淡くもくすんだ色を何て名前で呼んだら、ギミックは暴かれずに葬れるのだろうか、ばかり考えている。暴言も号泣もなんて意味のない行為なんだろう!僕が跳んだって君に朝は来るから。疑惑、秘密、疎外と紛争ばかりの明日を君と迎えたいのに、こんな狭い東京でどうして君に会えないんだ?なぜなら君が一体誰なのだか僕は知らないのだから。

 
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