家族/山中 烏流
 


 
 
例えば。
 
 
茹だるような青が
私たちを押し潰した夏に
もしも、一握りの白があったとして
 
それは
冬たる物になるだろうか?
 
 
アスファルトに溶けたのは
陰、ばかりではなく
その幼さから溢れ出した
言葉も、ではなかったか
 
それこそ
最初から無かったみたいに
振る舞っていて
 
 
******
 
 
かあさまは
わたしのしらないおかおで
しらないおじさんと
おててつないで
どっかいっちゃった
 
とうさまは
ねえさまをいっぱいなぐって
それから
わたしをいっぱいなでたよ
おむねとおしりと

[次のページ]
戻る   Point(8)