僕らは今夜ひとつの月になる/もこもこわたあめ
湿度の高い暑さののこる夜
デリケートな僕の気持ちをそのまま形にしたような
溶けかけのシャーベットの残るグラスに
きれいに真ん中で割られた月が映ってる
シャーベットをひとすくい口に運ぶ途中で
ラジオから流れる”YAHYAHYAH”に耳を傾ける
シャーベットはここぞとばかりにグラスの中に
音も立てずにかけていった
大好きなミュージシャンの歌に聞き入って思わず
突き上げたこぶしを小さな影が覆い隠した
こぶしの間から見える小石のように小さな月は
割られることなく僕らを照らしていた
僕らは今夜ひとつの月になった
そんな夜だった
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