震える手/
Izm
街灯は今も寂しく
駐車場へと続く道に
光を落していた。
この微弱な心音と
どこか似ているような気がして
あのまま時が止まっていることが
救いだと思えるほどに。
通り過ぎる足音は
階段を踏み外さぬように
それでも力強く、
振り返りもせず。
一瞬の戸惑いを纏いながらも
笑顔を見せようと、
願いを込めた感触は
自らの記憶を混乱させた。
どうか このアスファルトで
繋がっていられますように。
どうか この風の中に
夏の微粒子が混じりませんように。
戻る
編
削
Point
(8)