ロウの帯/
砂木
快速にのって先頭の時間が
紙の奥に消えていく
反対側に満ちる水滴は
音をたてずに指をぬらし
ひとおもいに 破けない陽射しに
汽笛の発車する叫びだけ
むしりとられる花びらに
とどめを ささやいて眠らせ
かけた灯りの側
エレベーターで地下が登る
月が還って来た住人を
ろうそくのように消していく
気がつくと 月の中
眼が見えるから
草の側で果てた蝶は
眼を閉じ続ける
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