断片集「まり麩」/簑田伶子
一.
感度のよい
センサーライトが
いきばのないくらいに
点る
道は足に
ぶら下がったままで
二.
ひまし油
(メルセデス・ベンツのブレーキホースの原料)
(下剤として)
かきまぜる先で泡立っている
まだわかいゆうぐれ/しかたのない女
三.
句点も読点もなかった
ただ
なんど折り曲げれば
空にとどくかなんて
くだらない話が
やたら空をささえている
四.
皿と皿
割れる素質がひたいの
ようにきれいだと
ふろしきをひろげる手に
ゆだねる
強い子
五.
きたないからさわってはいけない、といわれた
鳩をもう
鳥としか呼ぶことができないのに
わすれそびれている 善良な
こころをまだ
こころだとおもっている
六.
この部屋の四角さがわかるなんて
今日は天気がいい
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