石を置く/
長谷川智子
私は
どこへ向かって
石を置いているのだろう
ずっと遠くへ行くため?
それとも
今居るところから跡を濁さず飛び立つため?
川に石を並べて渡ろうとしているように思えるときがある
彼方から聞こえる「どうせ無駄だよ」の声。
無駄?
……笑いたければ笑えばいい
私を笑い飛ばして振り返ったあなたの後ろには
誰も居なかったりして。
石をただ置く
置けるだけ置いたその先に何が見えるだろうか
私はむしろそのことが気になる
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