きれたり/Ohatu
 

 赤色を失った消えそうな炎が
 ふたつに分かれて、絡まりあい
 絡まったまま僕を燃やす
 炎は愛し合い、僕は焼かれる

 見えない炎は、なにより暑い
 僕は少し泣いた
 泣いて足りない分、歌を歌った
 メッセージなんかじゃないんだ
 もっと、ただ、歌なんだ

 僕はヤマダさんで、ヤマダさんは僕
 完熟のバナナも
 バニラフレーバーも
 フェアトレードのカカオだって
 ヤマダさんで、僕だ

 歌声は炎で、炎は歌声
 僕はただ焼かれて
 それで僕は歌い、また焼かれる
 黒焦げになった骨に
 銀色の釘を打ち付けて、僕の体をヤマダさんにあげる

 始まったり、きれたり、きれたり
 宇宙からはみ出した、僕の全てをヤマダさんにあげる


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