If I died/Utakata
数が来てくれれば
それで十分で
そのときに久しぶりに顔を合わせて
お互いに各々の話を語ってくれたらいい
ぽつぽつと
***
夕立が
近づいてきていて
***
灰とか
海に撒くだとか
そんなことは別に気にしないと思う
樹に埋めるとか
たぶん そういうことは必要じゃなくて
もう
泣いてくれることさえ
そんなには いらないと思った
***
沢山は泣いてくれなくてもいい
ただ 毒づいてくれればいいと思う
夏のまるっきりありふれた
夕立を見ながら
たちの悪い冗談を叱るみたいに
もう 謝れないけど
***
煙が
消えてしまったら
もうあとは そんなに大切ではなくて
夕立が去った後の雲の隙間に
また青空が見えてくれたら
蝉がまた鳴き始めてくれたら
夏休みの季節が
また何事もないように動き始めてくれたら
遠くに眺めて
小さく溜息をついてくれれば
それで
***
少しだけ
泣いてくれるなら
それで
戻る 編 削 Point(0)