えいえんが生まれるまえに/ねことら
 
きれいな名前をもらった
壊れないように
ちいさく口ずさむよ
動かない両足を
なげだしたまま



今夜も
きみは訪ねてこないね
夜のじかんは
やさしく騒がしくて
フラスコの中にいると
すこし、ひとりだから



まだ、わたし
なにもしらない
なにもしらないよ
夕日の沈み
朝焼けの鳥のはばたき
きみの声や
手のひらの温かさ



用意された椅子は
やっぱり、ひとつだけ
そのしずかな冷たさを
すわって感じるよ
ゆくあてのないゆめ



えいえんなんて
なくてよかったね
はじまりだけでよかった
きっと、わたしは
まだ
生まれてもいない










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