第1章 小さなエルフ/箱犬
リトル・ランブル
フィッシュは思いもかけないものを見てしまいました。はじめは見間違いかと思ってそのまま走り去ろうと
したのですが、もう一度よくよくそれを見てみるとブックルック・ペンシルバッカス・リトル・ランブルフィッシュは
驚いて走るのをやめてしまったのです。
それは「真っ黒な影のような物」でした。普通、影というのは地面かあるいは壁なんかに自分の足からべったりと
伸びて張り付いている黒いもののはずなのですが、その「真っ黒な影のような物」はふわふわと宙に浮いて
いるのです。動き方からしてどうやら歩いているふうなのですが、真っ黒なのでよく分かりません。
『すごいや。お母さんのまっくろパンより黒いぞ』
ブックルック・ペンシルバッカス・リトル・ランブルフィッシュはしばらく見ていましたが、新しい仲間が来るという
シントリンの言葉を思い出して、呼吸を整えるとまた広場まで走っていきました。
戻る 編 削 Point(1)