サヨナラ茶色い鞄/箱犬
午後のぬるい風圧に耐えながら
何かしたい、と制作意欲にも似た無駄な時間を
ぼくは今日も過ごしてしまいまして
カキ氷でも食べませんか
扇風機はトュルルルと鳴きませんか
灰色の空から射す日光がこれまた
何ですから、と薄い皮膜に似たカーディガンを羽織って
ぼくにこんにちわとご挨拶するのです
巨人が手を差し伸べましたか
扇風機はトュルルルと笑いませんか
日常から抜け出した絵日記の歪なくもの巣には
歪んだセミが一匹干からびてしまいました
本当に見たことなんて ええ ありませんでしたが
僕の眼から涙が ええ とまりませんでしたが
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