アイフォーン/小川 葉
アイフォーンが
日本に上陸するのと
同じ時代に
日本にひどい
通り魔事件が上陸したことは
偶然かもしれないけれど
もし僕が
アイフォーンで詩を書いて
インターネットに載せたとしても
その詩を読んでくれた君と
アイフォーンで
話すことができたとしても
生身の君のことは
きっと死ぬまで知らないのだ
アイフォーンで撮りためた
写真とは呼べない
いわゆる
画像という記号を
スライドショーで見る
未来の夜を
もう思い出してる
そんな気持ちで
詩を書く
生身の君を
あのつるつるした透明の
タッチスクリーンをつまむ
未来の夢を
もう知ってる
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