ひまわりの木/小川 葉
 
昔、通学路の畑に、ひまわりが生えてました。
大輪の花が咲く夏を、楽しみにしてました。
しかし、夏がきても、花を咲かせるようすはなく、
やがて茎は茶色みをおびていき、
幹はどんどん太くなっていきました。
そのときやっと私は、それが木であることがわかりました。

毎日その木をみて通学しました。
ある日台風で、その木が倒れました。
自分がたおれた気持ちになりました。
自分の幼年期が、静かに終わりをむかえたようにも思いました。

やがて私は高校生になりました。
勉強するために、図書館にいきました。
夏休みでした。
あのときの木が、ひまわりではなく、
そのときやっと、自分であることがわかりました。

それから毎日その木を見てきました。
いつか台風で、木が倒れるまで、
生きていくことにしました。
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