枇杷/
よしおかさくら
わたしはまだ熟していませんと
果実が云っているのに
かまわないよと
あなたは嬉しそうだ
故郷の味なのだろう
枇杷は好きじゃない
けれどそれは枇杷も
知っているようだ
わたしは熟しません
熟さないのです
皮のするすると剥ける断固とした主張で
大きな種を飲み込んでいる
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