こころのなかで、きる/結城 森士
 
したと思う?」



「あなたの力になりたかった。
 あなたが苦しんでいれば全てを投げ打ってでも守りたかった。
 たとえあなたから誤解されて嫌われたとしても
 あなたのためになるのなら構わないと思った。
 けれどそれは、今から考えると愚かな考えだった。
 結局あなたにされた仕打ちを許すことが出来ずに
 こんな風に別れてしまうしかないなんて。
 結局はあなたの裏切りを許せなかったのだ。
 所詮、あなたを愛するには、器が小さかったのだ。
 いくらあなたが、わたしのことを許してくれたとしても
 わたしが今でもあなたのことを愛していたとしても
 あなたを許すことだけは出来ないのだろう。
 わたしは、器の小さい人間なのだから。
 
 わたしはわたしの限界まであなたのことを守ろうとした。
 けれど、あなたのことで、自分を守りきれなくなり
 他の人にまで迷惑をかけることは、もう、これ以上は、出来ない
 
 だからわたしは あなたを捨てます。

 」


 その瞬間と、
 その瞬間まで、
 誰よりも本気であなたのことを想った。
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