ふぞろいな葬列/水島芳野
あどけない幸せに手を差し伸べても
まだすべて捨てられると思っていた。
零れだすものは、すべていらなかったから。
だからなんにでもなれると思った。
この道はどこまでも続くから
僕もどこまでも行ける気になった
英雄気取りの旅人のつもりで
どこまでも、
どこまでだって。
さらわれたお姫様は救えるものだと信じていた。
でも違った。
(でもすべて違うことすら、
僕は知ったかぶっていたから
たいして傷つかなかった。)
まがいもののちにくが
音をたてて、くず
れ
だす
の
を、
おだやかな微笑で見送った。
すべて葬り去れるのだと思った。
これで。
(いじわるな僕には、それが幸福にすら思えた。)
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