るりら、るりたち/
小池房枝
明日は一日、月立つ日
時の流れと一年を
月の姿で数えていた頃
細い三日月新月が
空に立つのが一日だった
白夜が続く北極も
夏至を先日迎えたばかり
白夜の空への夜の戻りを
るりが立つ日を
るりたちと呼ぶ
かなたの土地ではこの夏は
氷が全部溶けそうだと聞く
流氷もまた氷山も
すべて紫紺の海に還ると
白夜に夜が戻る頃
青い氷原も戻るだろうか
白夜に夜が戻り始めて
るりが立つ日をるりたちと呼ぼう
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