透き通る空に/緋乃村燿介
 
透き通る空に
何もかもが見透かされている気がして
僕は空を見上げなくなった

透き通る空に
あなたは前を向かなきゃっていわれてる気がして
僕は耳を塞いだ


けれど、いつも空は僕を見ていてくれた
泣きたい日は雨を降らせてくれた
泣き疲れた日は虹を見せてくれた


視界に一瞬だけ入った虹
あまりにも
あまりにも美しすぎて
僕は泣いた

ひとしきり泣いて……僕は歩き出した

空に、Vサインして……
力強く、アスファルトに靴音をコダマさせながら……


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