灯火/
かいぶつ
ただ僕ひとりの身を
猛獣と寒い夜から
守るためだけに
僕は僕の命を
燃やし尽くしてしまった
でもこれから芽吹く
僕の命は君のために
火を放とう
湿気た僕の命じゃ
小気味良い音を立て
燃え盛ることは無いが
温かい飲み物を沸かす
程度にはなるから
いつか君の頬を濡らす
雨雲を燃やすため
君を覆う全ての苦しみを
焼き尽くすために
僕は命に薪をくべ
火を灯しつづけよう
いつか僕の炎が
ロウソク程度になったら
最後は君の息で
そっと吹き消しておくれ
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