かなこ/モリマサ公
 
夜の空が皮膚のようにめくれていくのをみている
地平線に
ゆれている骨たちのあかり
ふさふさの影
それぞれのドアの鍵が存在する
接触したいだけの数の
不安と安心が
便器の中の
花びらみたく漂う
猫背のドラッグディーラー
が家族を思い靴底を減らし
泥のついたまぶたの
そのうらがわに
不透明な水でぱんぱんな風船がふくらむ
世界にしろつめくさの冠が
長く伸び
かなこ「はーう」
コヨーテ「はうはーう」
知らない女達の汗にふれて
空耳の着信音
弱者の足首のねじれ
そういうのを大事にしたいって
なんどもいったよね
叫びたいのに
をかみ殺しアクセルを踏み込む
接触する寸前のガードレール
加速する水たまり
車窓から吹き込んでくるヒューイ
ヒューイ
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